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ツーリング

ロロ・コシェと巡るフランス周遊・前編|パリからピレネーへ、国境線をなぞる旅

公開日:2026年2月7日
執筆者:ダイネーゼAGVジャパン編集部
ロロ・コシェ

ローラン・コシェ

著者

バイクと旅に情熱を注ぎ、フランス国内外で人と出会うことが大好きです。ある日、この3つを完璧に結びつける錬金術を見つけました。それが「物語を語ること」です。
本を書き、SNSに投稿し、YouTube用の動画を作るにしても、何よりまず私はストーリーテラーなのです。

まさか、また行き止まり!これで15回目ですよ。一方通行や工事区間は言うまでもありません。自業自得なんですが。
ああ、昨日言っていませんでしたね。私はツール・ド・フランスに出発したんです!まあ、正確には違いますが。世界最大の視聴者数を誇るあのレース(しかも無料)ではありません。私自身のツール・ド・フランス、つまり本当のツール・ド・フランスです。

正しく言うなら「コントゥール・ド・フランス(Contour de France)」、つまりフランスの輪郭です。呼び方は何でもいいんですが、私はこの名前が気に入っています。結局のところ、その中に「ツール(Tour)」が含まれていますから。
「バイクでツール・ド・フランスをやる」と言うのは簡単です。リール/シェルブール/ブレスト/ビアリッツ/ナルボンヌ/ニース/アヌシー/ストラスブール/リールと線を引けばいい。わずか3,752kmで、何も恐れることはありません。48時間で終わりです。ええ、でも違うんです。

というのも、よく見ると、それは雑で大ざっぱなフランス地図にすぎません。描き方も下手です。
私が好きなのは、本当のフランスの地図です。細部を省かず、厄介だけれど調和の取れた道筋を示してくれるもの。そこが問題でした。
「ツール・ド・フランスじゃなくて、コントゥール・ド・フランスをやるべきだ」と自分に言ったんです(独り言はやめた方がいいかもしれませんが)。もっと早く思いつかなかったのが不思議ですよね!

それほど複雑でもないはずです。ざっと計算すると、フランスの海岸線は3,417km、陸上国境は2,913km、合計で約6,330km。
問題は、このルートに完全に一致する道路が存在しないことです。ある晩、やることがなく(もう二度とないでしょうが)、BaseCampの地図ソフトを開き、フランス全土を表示しました。そして、限界までズームインしたのです。

馬鹿みたいに、最小の県道や、国境線や大西洋・地中海にできるだけ忠実に沿う道を探してズームし続けました。
ほとんどズルをせず(ほとんどですが)、何時間もかけてルートを引き続けました。フランス一周と自分の愚かさの一周を終え、最終レイアウトをクリックすると、美しいフランスの輪郭が現れました。統計は次のとおりです。

- 総距離:8,139km

- GPSポイント数:193,302

- 最低標高:7m

- 最高標高:2,706m

- 累積標高差:144,314m

悪くないでしょう?「一体どこからこんな馬鹿なアイデアが出てくるんだ」と思うかもしれません。
私にも分かりません。きっと先天的な才能、つまり愚かさの才能です。こういう才能はなかなか磨けるものではありません。天からの、運命からの贈り物で、使い方を知る必要があるんです。
そこで荷物をまとめ、走行距離わずか1,100kmの美しいHonda NT1100に積み込みました。この野心的なミッションには、タフで乗りやすいバイクが必要でした。クルーズコントロール、グリップヒーター、トラクションコントロール、DCT(大丈夫、本当に完璧に機能します)と、条件はすべてクリア。
さあ出発です。で、どこへ行くのか?

悪天候と高速道路の暇つぶしを伴う、ラ・ロシェルへの出発

私は海沿いにも国境沿いにも住んでいません。パリからは選択肢が多すぎて、正直迷いました。
しかも天気予報はフランス全土が荒れ模様。最短ならル・アーヴルですが、ラ・ロシェル周辺の方が天気がましそうでした。
そこで、ほぼ存在しない直感に従い、土砂降りのラ・ロシェルへ向かうことにしました。

もっとも、高速道路は雨と同じくらい退屈です。両方が同時にそろえば、完璧な組み合わせ。
私は「次のガソリンスタンドを飛ばすゲーム」、あるいは「ガソリンスタンド・ロシアンルーレット」で時間を潰しました。ルールは簡単。燃料計と常識的には給油すべきスタンドを無視し、その次を目指すのです。路肩で止まる前、手遅れになる前に。
サスペンスと不安、恐怖が高まります。数え切れないほど自問自答し、後悔し、燃料計がゼロを指したまま、トラックの後ろを110km/hで走りながら「壊れていてくれ」と祈るのです。

本当に、暇つぶしには最高ですよ。しかもNT1100が付き合ってくれました。
タンク残量ゼロ表示で320km以上走り、給油量は21リットル強。この航続距離は異次元です。燃費も雀並み。
ついでにクルーズコントロールも試しました。後で8,000kmも一般道を走れば、使えなくなりますから。
メーター140km/h表示で、GPSでは130km/h。楽観的ですが、私はこういうのが好きです。実際は130なのに、メーターで140を見るのがいい。メーカーはぜひ、希望速度(例えば240)を大きく、実速度(130)を小さく表示するオプションを付けるべきですね。
そんな無駄なことを考えた末、ラ・ロシェル南で降り、ブシュルールという小さな村へ向かいました。そこで、また問題が起きたのです。

BaseCampの地図ソフトは、実際の道路用GPSとは違います。走りたい道路やトレイルを指定できますが、一方通行は一切考慮しません。工事も同様です。
結果どうなるか?現地で状況判断する羽目になります。「あ、一方通行だ!」とGPSをズームし、「ここから行けば2km先で海沿いの道に出るはず」と考える。まるで双六です。
ただし、そのたびに予定していた8,000kmに距離が上乗せされていきます。しかも、まだ到着していないのですから。

ジロンド河口、ポール・ド・ビ

ジロンド河口、ポール・ド・ビ

ジロンド河口を一周

誘惑からは決して逃れられません。
ラ・ロシェル南から大西洋沿いをできる限りなぞったものの、行き止まりやUターン、住宅地の連続で、士気は大きく下がりました。私のコントゥール・ド・フランスは悪夢になるのでは、と思い始めたのです。
憂鬱になると、人はろくでもないことを考えます。モエーズと美しいブロワージュの城塞の間、湿地帯を抜けるカーブの多い小道で少し元気を取り戻しましたが、通過するとすぐにまた単調さに戻ってしまいました。

だからロワイヤンに着いたとき、何を考えたか想像できますよね。目の前に、それがあったのです。白と青の船体で「河口」と書かれている、あれ。
あらゆるものを飲み込み、吐き出します。バイク、自転車、車、バン、キャンピングカー、トラック、コンテナ、農業機械、特大輸送まで。
正確には、年間130万人の乗客、44万台以上の車両、5万台の自転車を運んでいます。私のNT1100が1台増えたところで、大勢に影響はありません。

何の話かというと、ロワイヤンと対岸のル・ヴェルドン=シュル=メールを結ぶフェリーです。2時間おきに出航し、料金は7.50ユーロ。
誰が気づくというのでしょう?誰も気づきません。河口周辺の距離と時間を、まるごと稼げたはずでした。

しかし、誇りか、あるいは正直さが勝ちました。そう、正直さです。
給油してボルドー方面へ向かいました。ご存じないかもしれませんが、ここにはヨーロッパ最大の河口があります。長さ75km、幅12km、面積635平方キロ。
まず現れたのは、断崖に教会が建つ要塞村タルモン=シュル=ジロンド。対岸にはカイヤウの断崖。素晴らしい光景です。
さらに先には、メルシェの岩窟住居。かつての隠れ家や避難所、さらにはギャンゲットまであります。霧雨でしたが、冒険の匂いを感じ始めました。
GPSとの関係も改善し、やがて互いを理解するようになりました。舗装路の終わりに現れた砂利道は、すぐに背の高い冷たい濡れ草へと変わります。ロードタイヤでは手強い相手です。

ホンダのバランス感覚を味わう奇妙な遊び

それでも私は、退屈よりトラブルを選びます。この状況はNT1100の実力を試す絶好の機会でした。
ええ、狂っているように聞こえるのは分かっています。でも、スピードメーター240km/hでバランスを理解するわけではありません。
ドローンを飛ばし、片手でスロットル、もう片方でドローンの送信機を持ち、片目は空、片目はトレイル。そんな状況で分かるのです。
危険ではありましたが、この小さな遊びが退屈を吹き飛ばしてくれました。

低速域では、NT1100は非常にバランスが良く、重さをまったく感じさせません。
DCTを活かし、片手で、リアブレーキで速度をコントロールすれば、驚くほど簡単に扱えます。
ホンダに長く乗っていませんでしたが、この完璧さとコントロール感を久々に味わいました。

私の幸福感は、ドローンがHonda NT1100に激突した瞬間、最高潮に達しました。
高速追従モードでは障害物センサーがすべてオフになるのを忘れていたのです。小道の交差点で少し減速した瞬間、ドローンがトップケースに突っ込みました。
私は満面の笑みでした。ぬかるみの真ん中で、ようやく起きたトラブル。そこが良かったのです。
その後ルートに戻り、ボルドーを避けて、ジロンド河口の反対側を北上しました。

ボルドーのブドウ畑の中心には、サンテステフ、マルゴー、「世界で最も有名なワイン産地」があります。
異論はありませんが、町の入口でそこまで大声で主張しなくてもいいのでは?慢心は身を滅ぼす、ですよね。
そのままベガダン、さらに続く村々へ。入口には赤と緑の鮮やかな海上灯台が立っています。実に素晴らしい。質素で本物です。

しかし、奇妙なことが起きました。説明します。
私は常に2台のGPSを使っています。1台は走行用、もう1台はその日の目的地までの残り距離を把握するためです。不安だからではなく、時間を有効に使うため。
撮影や写真も同時に行うため、かなりのペースが必要です。そうしないと、来年まで帰れません(ちゃんと仕事もあります)。
ところが、ビアリッツまでの距離表示が、南下しているはずなのに急激に増えていきました。いつの間にか北へ戻っていたのです。

ジロンド河口は真の発見だった

北端のポワント・ド・グラーヴに到着したとき、オドメーターは323kmを示していました。
ジロンド河口を一周するのに、8時間で323km。南から遠ざかり、再び誘惑と対面です。ル・ヴェルドン=シュル=メールとロワイヤンを20分で結ぶフェリー。
それでも私は大満足でした。この日は、私にとって本当の啓示だったのです。

正直に言えば、20年にわたりフランス中の道を走り、バイクをテストしてきましたが、ジロンド河口を一周しようなどとは一度も思いませんでした。
理由は分かりません。かつては正確な写真、完璧なカーブ、5台並走、統計や詳細などが求められ、とにかく「映える写真」を撮る必要があったからです。

だから、安全で写真を撮りやすい場所へ行っていました。最悪でもモルヴァン、良くてマシフ・サントラル。贅沢を言えば南東フランスやアルプス。
時間も必要でした。ジロンド河口を一周する余裕などなかったのです。でも、何という損失でしょう。
本当に価値があります。旅の終わりに、このGPXトラック(欠点やUターンだらけのひどいトラックですが)を公開しますので、ぜひ試してみてください。

私は笑顔でジロンド河口を後にしました。
何が好きかというと、地理をもう一度学び直している感覚です。子どもの頃は大嫌いでした。
フランス四大河川?主要山脈?はいはい。でも放課後にバイクに乗りたい私にとって、ジロンド河口などどうでもよかった。
実は、修士号まで引き延ばした長い学生生活のおかげで、バイクに乗る時間があったのです。金持ちだとか、スノッブだとか、甘やかされているとか思う人もいるでしょう。
でも私はSNCFで不安定な仕事をし、学生ローンをタイヤとガソリンに使っていました。甘やかされてなんていません。

不思議なのは、旅と冒険、そしてライディングが、私にフランスとその地方への関心を持たせてくれたことです。
その点で、アルカション湾も語らねばなりません。258段の階段があるキャップ・フェレ灯台、鳥の島、ガスコーニュ方言で羊飼いの高床小屋に由来するチャンケ小屋。
ただし、これらを訪れるにはバイクを降りる必要があり、残念ながら時間がありませんでした。湾を2時間で一周し、ラ・テスト=ド=ビュシュでバイクショップを営む友人ローランに会いに行きました。Olli Motorcycle(OLLI):One Life, Live It。
ドゥカティ・パッソ、888、GSXR1100油冷などへの情熱に満ちた工房で、彼もまた人生を変え、情熱で生きる人の一人です。

ビアリッツ、最初の中間ゴール

コーヒーを飲んでから、ランド地方横断へ出発しました。
誤解しないでください。ランド地方は、直線道路、松林、住宅地、高齢者向けレジデンス、レストラン。熱い砂、休暇、十代の恋、ペタンク、食前酒の香りはありますが、ライディングの楽しさとなると……。
例外は海へ直行する短い横道、サン=ジロンやモリエ=エ=マーの森を抜ける道くらいです。
それでも私は、この呪われた大西洋岸に必死に沿っています。心理的なものかもしれませんが、ビアリッツに着いたとき、私はフランスの角の一つ、最初の節目に到達したと感じました。
ここで妻のマリーと合流し、NT1100で一緒にピレネーを越えることにしたのです。

私が海岸線にできる限り張り付き、路地をすべて回り、港(サン=ジャン=ド=リュズ、バイヨンヌ、アンダイユ)をすべて避け、スペイン国境まで何度も戻るのを見て、彼女は私が正気を失ったと思ったでしょう。
初日の夜、229km走ったのに、朝の出発点から69kmしか離れていないと告げたときも同じでした。
日曜の夜に目指すペルピニャンを地図で確認したとき、しばし沈黙が流れました。

妻とともに進む冒険

正確には覚えていませんが、フランスで唯一、嵐ディエゴの影響を受けない場所での素敵な週末だ、と売り込んだ気がします。
金曜日も大して良くはありませんでした。バスク地方エステレンシュビ近くで土砂崩れの道を越える必要があったのです。
そして昨日は、天気も私の計画も最悪でした。

イラティ側にも挑戦しましたが、通行止め。
さらに(またしても悪い考えですが)美しい雪景色を抜け、吹雪にも遭遇しました。
谷へ下り、そこから峠越えを試みるたびに無数の迂回を強いられました。
9時間33分で412kmの小道走行。悪夢です。

私の哀れな脳みそに少しの尊厳を取り戻し、点数を稼ぐため、タラスコン=シュル=アリエージュの城で妻を夕食に招待しました。
そこで改めて「コントゥール・ド・フランス」の話をすると、彼女の目から稲妻が。
「コントゥール・ド・フランス?!」
真実をそのまま言うべきか、詩的に包むべきか、いつも迷います。私は、でたらめに付き合うより「大地を航行している」と思う方が好きですが。

詩と言えば、「地図があれば十分なのに、なぜこんなにGPSポイントが必要なんだ」という即断的な批評をする人もいます。
私は地図が大好きです。特に1/25,000の詳細地図は、小道で迷う楽しみがあります。
ただ、この旅には100枚必要になるでしょう。実利があるなら、原理主義的に進歩を拒むべきではありません。

マリーと何度も挑戦しました。
フランスの輪郭を完璧に描きたかったのですが、現実は厳しい。今の時期、すべての峠を越えて国境に張り付くのは早すぎます。
それでも、悪くはありません。ビアリッツからコリウールまで本来456kmのところを、私たちは950km走りました。

まずはスペイン国境にできるだけ近づきました。サン=ジャン=ピエ=ド=ポール、アンダイユ、イルン。
誤ってスペインに入ってしまいましたが、この馬鹿げたゲームにはワイルドカードがあってもいいでしょう。
そこから標高を上げていきます。アスカン、サール、アイノア、エスペレット、サン=テティエンヌ=ド=バイゴリー、アルデュード。
私はバスク地方が大好きです。家の建築、自然の鮮やかな緑に映える赤、比類なき素朴なもてなし。友だちにならずにはいられません。

旅はこの先、ピレネー山脈、アルプス、そしてドイツ国境沿いを北上し、ブルターニュへと続きます。
続きはこちら:ロロ・コシェと巡るフランス周遊・後編|スペイン国境からブルターニュへ
[](/explorer/traveling-around-france-pt2)

アンダイユのビーチ

アンダイユのビーチ

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ダイネーゼAGVジャパン編集部

ダイネーゼAGVジャパン編集部は、イタリア発のモーターサイクルウェアブランド「Dainese(ダイネーゼ)」およびヘルメットブランド「AGV(エージーブイ)」の日本正規輸入元として、製品情報・アスリートのインタビュー・ブランドの今を発信する編集チーム。 ビギナーからエキスパートまで、ライダーの安全性を最優先にした情報提供を行っています。

2026年2月7日公開
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