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ツーリング

エンデューロバイクで巡るシチリア横断の旅|メッシーナからパレルモ、約960kmの冒険

公開日:2026年2月7日
執筆者:ダイネーゼAGVジャパン編集部
シチリアのエンデューロ

Wojciech Borkowski(ボレック)

著者

私はエンデューロに情熱を注ぐ28歳のモーターサイクリストです。2012年から走り続け、年間走行距離は約2万km。その多くがオフロードです。これまで20か国を訪れ、その多くは単独で旅してきました。

旅で一番好きなのは、人々の暮らしや文化、風景、そして食を知ることです。できるだけ人里離れたルートを選び、テントで眠り、湖で体を洗い、焚き火で料理をします。バイクで旅することは、私のライフスタイルそのものです。

夏の終わりが近づき、日照時間は短くなり、気温も下がり、休暇の季節も終わろうとしていました。今回の旅は、いつもとは少し違います。

気温が快適とは言えない中、何日もかけて何千キロも走るのは避けたかったため、シチリアまでは飛行機で移動し、現地でバイクをレンタルすることにしました。

前提はシンプルです。できるだけ安く旅をすること。ただし、バイク旅行である以上、それなりの出費は覚悟しています。

ポーランドからカターニアまで、LCCの直行便を往復70ユーロ以下で確保できました。こうした場合、私はいつも skyscanner.com を使って航空券を探しています。

最初の課題:すべてを機内持ち込み手荷物に収める

ここしばらく、旅では常に最小限の荷物で行くことを目標にしています。今回のチャレンジは、8日分の装備――フルキャンプ装備を含めて――すべてを機内持ち込み手荷物に収めることでした。

未知へ向かう喜び

未知へ向かう喜び

航空会社のサイズ規定に合うバッグを持っていなかったため、必要に応じて拡張できるバッグを自分たちで設計・製作しました。

制限があったのは、ガスストーブと刃渡り6cmを超えるナイフが持ち込めないこと。機内持ち込みでは禁止されているためですが、それでも気落ちすることはありませんでした。

一番おかしかったのは、受託手荷物料金を避けるため、バイク用装備を着たまま飛行機に乗らなければならなかったことです。

不快そうに聞こえるかもしれませんが、2時間のフライトは、猛暑の中を走るよりずっと楽です。ヘルメットについては、航空会社に問い合わせても誰も明確な答えをくれませんでした。そこで私たちは、帽子と同じ“衣類の一部”として扱うことにしました。

出発——2時間で冬から夏へ

数週間後、10月末。すべての準備が整い、カウントダウンはゼロになりました。

特注のバッグに装備を詰め込み、空港へ向かいます。救急キット、テント、マット、寝袋、ヘッドランプ、タオル、カップ、結束バンド、携帯用コンプレッサー、予備チューブ、給水バッグ付きバックパック、掛け布団、着替え、そして小さなナイフまで揃っています。基本的な工具はレンタルバイク店で借りる予定です。

空港の駐車場で着替え、ライディングスーツ姿のままターミナルへ入ります。出発当日のポーランドは約7度。

チェックイン時、ナイフを没収されるのではと少し不安でしたが、万一に備えて6cmに切ったメジャーまで用意していました。幸い、バックパックは問題なくスキャナーを通過し、誰にも気づかれません。思わず微笑んでしまいました。

空港では、私たちを見るために多くの人が振り返ります。それがまた楽しく、気分も上々です。人々は笑顔を向け、私たちも笑顔で応えます。

荷物や奇抜な服装についても問題はなく、すべて順調に進み、機内の座席に着きました。

フライトは2時間足らずだったと思います。このおかげで、片道約2,200km、つまり3〜4日分の移動を省くことができました。

装備を取り出す必要があるため、私たちは最後に機外へ。カターニア空港では、強い日差しと約27度の暑さが私たちを迎えてくれました。

エトナ火山でのエンデューロライディング

Googleマップを使って駅まで歩きます。EU域内ではローミングが無料なので、通話もインターネットも問題ありません。

やがて、標高3,329mを誇る世界有数の活火山、エトナ山が姿を現します。山頂にはうっすらと煙が立ち上り、ヤシの木に縁取られたその光景は実に壮観です。明日は、可能な限り高い場所まで走る予定です。

バイクを受け取るオーガスタまでは、さらに1時間ほど列車で移動します。レンタル会社オーナーのお母様が駅まで迎えに来てくださり、事業所のある敷地まで車で送ってくれました。

途中、地元の食料品店に立ち寄り、シチリアの名産品に早速触れることができました。この素晴らしい寄り道には、感謝してもしきれません。

夜は、レンタル会社主催のライディング講習に参加している他の旅行者たちと一緒に過ごします。

翌朝は夜明けとともに起床し、軽く朝食を済ませ、荷物をバイクに固定。走行ログを追えるよう、スマートフォンホルダーを取り付け、火山へ向かう準備が整いました。

舗装路

舗装路

初日はバイクに慣れるため、難易度の高い荒れたトレイルは避け、無理のないルートを選びます。

いつも使っている OsmAnd アプリでオフラインマップを開き、いよいよ走り出しました。

小さな Honda CRF は、私たちの普段のバイクとはまったく違う挙動を見せます。1,000ccのマキシエンデューロから軽量な300ccに乗り換えると、その差は歴然です。

機敏さには感心させられ、200kgを超える2気筒車よりも、オフロードがはるかに楽になることがすぐに分かりました。

こうしてエトナ山に到達し、行ける限り人里離れた場所を目指します。周囲を取り囲む火山岩と、頂上からの景色は息をのむほどです。

晴れてはいるものの、山頂付近は風が強く、気温も下がります。火山の周囲を一周した後、メッシーナ海峡から始まるトランス・ユーロ・トレイルの起点へ向かいました。

トランス・ユーロ・トレイル(TET)は、ヨーロッパ全土を網羅する、舗装路とダートを組み合わせたマキシエンデューロ向けのルート網です。愛好家たちによって常に整備されており、新しい国を走る際には、これ以上ないほど心強い存在です。

メッシーナからパレルモまでのトランス・ユーロ・トレイル

目標は、シチリア島内のTET区間をすべて走破し、パレルモまで到達すること。オフロード走行は4日間を想定しました。

日没が早く、17時半頃には暗くなるため、16時頃に食料を購入し、給油を済ませ、日没前にゆっくりと宿営地を探します。

この日の走行はここまで。日没直前、予定通りメッシーナ近郊のルート起点に到着しました。

美しい夕焼けに包まれながら登り、写真を撮影。夜が迫っているため、安全にキャンプできる場所を探します。岩壁沿いでは落石の危険があるため、ルートを外れ、地元のダートロード沿いにテントを張りました。

毎日の計画は、夜明けとともに起床し、日没後すぐに走行を終えること。できるだけ一日を有効に使うためです。

そのため、毎朝6時にアラームをセットし、十分な休息を取りつつ、早めに走り出します。

気候に適応することの重要性

自分たちだけのワイルドキャンプ地で、イタリア式の簡単な朝食をとり、荷物をまとめて再出発します。

朝の光の中、ダートや岩場の道をどんどん登っていきます。景色は素晴らしく、気分も高まります。最初は少し寒いため、防寒用のジャケットとグローブを着用しますが、天候は急変し、それに合わせて装備も調整します。

私は常に通気性の良いジャージを携行しており、気温が上がったらジャケットの代わりにプロテクターの上から着用し、軽量グローブに替えます。暑い季節でも集中力を保つために、理想的な装備です。

ドローンを持ってきて正解でした

ドローンを持ってきて正解でした

地形は目まぐるしく変化します。緩やかな登りや下り、時には涸れた川床を進みます。

島の乾燥した気候のため、私たちは一切焚き火をしません。旅の途中、遠くに山火事を何度も目にし、考えさせられました。地元の人からは、私たちが滞在していた時期に、消火活動中のカナディア機に関する事故があったことも聞きました。

火がいかに危険で、壊滅的な結果をもたらすかはよく理解しています。そのため、自分たちと周囲の安全を最大限守るよう心がけています。

地元の人によると、農家が翌年の収穫を良くするために畑を焼くことがあり、それが山火事につながる場合も少なくないそうです。

旅人を温かく迎える土地、シチリア

ルートは壮大な自然の中を縫うように続きます。時折、魅力的な小さな村を通り、イタリアの文化や食に惹かれて、軽食やコーヒーのために立ち寄ります。

シチリアでは英語が通じないことも多いですが、簡単なイタリア語をすぐに覚え、言葉が足りなければ身振り手振りで会話します。それもまた楽しい体験です。

言葉の壁を理由に海外旅行をためらう人もいますが、必要なのはほんの少しの単語だけ。誰もが笑顔で旅人を迎えてくれます。

牧草地や農場を横切ることも多く、そのたびに家畜の脱走を防ぐ金属製のゲートを開閉します。

幸い、誰にも咎められることはなく、私たちも住民の迷惑にならないよう配慮しています。時には、所有者自らゲートを開けてくれたり、閉めるのを忘れないよう合図してくれたりもします。

岩だらけで厳しい登りにも数多く挑みます。高温の中では、かなり体力を消耗します。

もし自分たちの重いバイクで走っていたら、これらの区間は間違いなく、はるかに大変だったでしょう。

時には贅沢も——B&Bでの一夜

旅の途中、時折ホテルやB&Bに泊まることを自分に許しています。体力を回復し、熱いシャワーを浴び、レストランで美味しい料理をゆっくり味わうためです。

今回もそうしました。丘の上に佇む美しい村、ポリッツィ・ジェネローザで一泊します。名前はギリシャ語の「ポリス(都市)」に由来し、「丘の上の町」を意味します。「ジェネローザ」は、かつてこの地を治めたジョヴァンナ・ジェネローザ・デ・ラ・マーザ公女にちなむものです。

2人で70ユーロ。イタリアらしい甘い朝食とコーヒー付きでした。テントを撤収する必要がなく、少し長く眠れるのも魅力です。何日も走り続ける旅では、こうした快適さは決して悪いものではありません。

しばらく文明的な快適さを満喫した後、再びオフロードルートに戻り、パレルモを目指します。

シチリアの風景は劇的に変化します。雄大な山々や稜線に加え、黄金色に染まる森の中を走ります。夕日が木々の間から差し込む光景は格別です。

道中では多くの家畜を見かけ、なんとモトクロスバイクに乗って羊を放牧地へ導く羊飼いにも出会いました。

次の夜は、水辺——川や湖、せせらぎの近く——でキャンプできる場所を探します。涼んだり体を洗ったりできるからです。

水は景観も引き立ててくれます。湖や川、あるいは海がある風景の方が、やはり美しいですよね。自然と水に囲まれて過ごす時間が、私は大好きです。

しかし今回は簡単ではありません。あたりは乾ききり、川や湖はほとんど干上がっています。地元の人によると、シチリアでは産業が多くの水を使用し、さらにこの夏の深刻な干ばつが状況を悪化させたとのことでした。

パレルモでのゴールと総括

大自然の中を3日半走り続け、ついにパレルモに到着しました。その前に、ティレニア海でひと泳ぎします。

あとはオーガスタに戻り、バイクを返却するだけです。今回は Google マップが示す最短ルートを選びました。返却前には島の東海岸を走り、イオニア海を眺め、火山の写真をもう一度撮影します。まさに、特別な旅を締めくくる最高の瞬間でした。

シチリアは本当に素晴らしい島です。滞在は8日間で、そのうち6日間を走行に費やしました。総走行距離は約960km、そのうち450kmがオフロードです。

自然の中でテント泊を4泊、予約サイトで急遽宿を探して2泊、そしてレンタルバイクの拠点で1泊しました。

訪れる前は、島はもっと小さいと思っていました。しかし実際には、道路状況の悪さ、地形、交通量の影響で、移動にはかなり時間がかかります。

シチリアの人々はとても親切で、英語が話せなくても助けてくれました。そのおかげで、いくつかの単語を覚え、旅はよりスムーズで楽しいものになりました。

彼らはいつも笑顔で、「buongiorno」「buon appetito」「per favore」とイタリア語で声をかけてくれます。素晴らしい人々が暮らす、素晴らしい地域です。

エンデューロバイクで巡るシチリア——準備のポイント

オーガスタにあるポーランドのレンタル会社 Przystanek Sicilia には、心から感謝しています。おかげで、ほぼ新車同然のバイクを使い、自分たちのスタイルで自由にこの地域を探索することができました。自信をもっておすすめします。

シチリアに最適なバイクでした

シチリアに最適なバイクでした

私の考えでは、遠方に住んでいる場合、現地で装備をレンタルするのが、物流、時間、費用の面で最善の方法です(新しいものを試せるという楽しみもあります)。

ポーランドから陸路で往復すると約4,500km。数日間の移動に加え、燃料は約250リットル、さらに宿泊費や食費がかかります。それに対し、私たちの往復航空券は1人70ユーロ、あとはレンタル代のみ。計算はお任せします。

もっとも、これは人それぞれです。愛車と一緒に走ること自体を何より大切にする人もいますから。

最高の旅の相棒、Monia Moto Hero に心から感謝します。一緒に旅をするのは、いつも本当に楽しいものです。

帰路では残念ながら、大切にしていたポケットナイフを没収されてしまいました。空港の規則は航空会社の規則とは違う、とのことでした。

それでも、この旅のおかげで長い冬を前にしっかり英気を養うことができました。次の冒険に出る日が、今から待ちきれません。

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ダイネーゼAGVジャパン編集部

ダイネーゼAGVジャパン編集部は、イタリア発のモーターサイクルウェアブランド「Dainese(ダイネーゼ)」およびヘルメットブランド「AGV(エージーブイ)」の日本正規輸入元として、製品情報・アスリートのインタビュー・ブランドの今を発信する編集チーム。 ビギナーからエキスパートまで、ライダーの安全性を最優先にした情報提供を行っています。

2026年2月7日公開
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