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マウンテンバイク

ファビアン・バレルという偉大な人間、そして43歳で成し遂げたUCI E-EDR総合優勝

公開日:2026年2月7日
執筆者:ダイネーゼAGVジャパン編集部

2013年5月19日。イタリア・プンタ・アーラ。ファビアン・バレルは、マウンテンバイクの新たな歴史の最初のページを書き記みました。1998年にジュニアで、2004年と2005年にエリートで世界ダウンヒル選手権を制した3度の世界王者であり、さらに2000年から2009年の間にワールドカップで5勝を挙げていたフランス人ライダーです。

その日、トスカーナでエンデューロ・ワールド・シリーズ(EWS)が誕生しました。ニース出身のバレルは、過去20年にわたるMTB界のビッグネームが名を連ねるスタートリストの中で、全力の走りを見せました。ニコラ・ヴイヨズ、グレッグ・ミナー、スティーブ・ピート、セドリック・グラシア、ジェローム・クレマンツ、
ジャレッド・グレイブスなど、錚々たる顔ぶれでした。

ファビアン・バレルのMTB歴史

そのトスカーナの一日、ファビアンは表彰台に立った他のライダーや大会関係者とともにビーチへ駆け出し、海に飛び込んで祝いました。それが何を意味するのか、まだ彼らには分かっていませんでしたが、少なくとも「何か大きなことの始まりであってほしい」と願っていたのかもしれません。

10年後の再出発

2023年9月17日。フランス・シャテル。そこから10年が経ちましたが、笑顔も、表情も、目の奥の輝きも、少しも変わっていません。そして順位も同じです。今回もファビアンはランキングの頂点に立っていました(たとえ、今回は計画通りではなかったとしても)。

2023年ピエトラ・リーグレでのUCI E-EDRレースを走るファビアン・バレル

UCI E-EDRワールドカップについて

このシーズンは、別の意味でも初めての年でした。国際自転車競技連合(UCI)管轄下で行われる初のエンデューロです。もはやEWSではなく、UCI EDRワールドカップ、より正確にはE-EDR、つまりエレクトリック・エンデューロとなりました。
まだ十分な評価を受けていないかもしれませんが、間違いなく大きなうねりを生み出す存在になるでしょう。

少なくとも理論上は、ファビアンはすでにプロライダーではなく、キャニオン・コレクティブのチームディレクター兼メンターを務めています。それでも彼は頻繁にバイクに乗り、トレーニングを続け、その才能と勝者のマインドセットは少しも失われていませんでした。
そこで彼は、主に楽しみのために、シーズン初戦のピエトラ・リーグレにエントリーします。イタリア戦以外では、チームとともに最高の形でシーズンを締めくくるため、最終戦シャテルだけに出場する予定でした。

勝利の連鎖と新たな挑戦

ところが運命は別の展開を用意していました。リグーリア海を望む埃っぽいスペシャルステージで、バレルは見事に勝利を収めます。さて、次はどうするのか。計画を貫くか、それとも流れに身を任せるか。成功は野心を生むものです。彼はオーストリア・レオガングで行われる第2戦にも出場することになります。

結果は同じでした。再び優勝です。自信は確信へと変わり、すべてが意味を持ち始めます。これほど見事で、ある人にとっては予想外でもあった2勝を、無駄にするのは惜しいのではないか。ファビアンは、まだ手にしていない唯一のタイトルを狙う時が来たと決断します。
世界選手権を3度制している彼ですが、いわゆる「総合優勝(Overall)」だけは、まだ手にしていなかったのです。

イタリア・トレンティーノでは、マシントラブルにより33位とつまずきました。しかしフランス・ルダンヴィエルでは見事に立て直し、集団をリードします。そして迎えた、初開催となるUCI Eエンデューロ・ワールドカップ最終戦の舞台、シャテル。
バレルは総合首位に立ち、同郷のケビン・マリーに大きな差をつけています。無理をする必要はありません。ハンドルバーに貼られたメモには、はっきりとこう書かれていました。「賢くいけ」。最終戦でミスは許されません。
このカップを持ち帰ろう、ファブ。

初のワールドカップ総合優勝

そして、その瞬間が訪れます。この日はペナルティの影響で8位に終わったものの、総合では41ポイントのリードを維持。こうして43歳にして、ファビアンは初めてワールドカップ総合優勝を手にしました。遊び心から始まったシーズンを、最初から最後まで主導して締めくくったのです。
それは初のダウンヒル勝利から19年、最後のカップ優勝から14年を経ての快挙でした。

ファビアンは、あらゆる意味で並外れた人間であり、彼を知るすべての人にとってのロールモデルです。友人、同僚、そしてとりわけ、まだ小さなバイクでサイクリング人生を始めたばかりの息子たちにとって。正確さ、決断力、タイミング、信念。
それは単なる才能以上のものです。確かに才能は助けになりますが、ファビアン自身の言葉を借りれば、それは犠牲、努力、そして継続によって焼き上げられたケーキの上に乗った、ほんのチェリーに過ぎません。

43歳の偉業を達成

こうしてファビアンは43歳で初の総合優勝を手にしました。しかし、エレクトリック・エンデューロは、気楽なライダーや、従来のサイクリストほど努力したくない選手のためのものだと考えてはいけません。2位は25歳、3位は23歳、4位は26歳。
いずれも全盛期にあるトップライダーで、各ブランドの公式チームに所属し、競技に全力で取り組んでいます。

シャテルで行われたUCI E-EDRワールドカップ最終戦の走行シーン

エレクトリック・エンデューロの魅力

UCI E-EDRワールドカップのレースフォーマットは、従来のエンデューロよりも複雑です。登りではメカニカルアシストがある一方で、レースは長く、スペシャルステージの数も多くなっています。中には、極めて高い難易度係数を持つ上り区間も含まれ、卓越したライディングスキルと最高レベルの体力が求められます。
さらに、通常のマウンテンバイクよりはるかに重いバイク重量が、多くの場面で操作を難しくしています。

この新しく魅力的な挑戦は、すでに並外れたバレルのレーシングキャリアをさらに輝かせるだけでなく、チームマネージャーとしての彼にも大きな恩恵をもたらしています。マウンテンバイクレースの現場に身を置くことで、より深く競技を理解し、仕事に生かすことができるのです。

ファビアン・バレルの精神

ファビアンは、常に前進し、困難や痛みを乗り越え、2010年や2014年のような壊滅的な挫折からも立ち上がる準備ができている、稀有な存在です。今やパートタイムのプロアスリートでありながら、彼は自分のためだけでなく、最高レベルで走り続けています。
責任は2倍、3倍に増え、若いライダーたちを率いるチームもあり、それ以上の役割も背負っています。それでも彼はレースで結果を出します。誰かに求められたわけでもなく、証明すべきことが残っているわけでもないのに。
ただひとつ、自分自身に対してだけは別なのかもしれません。内に燃える情熱を持つ者は、決して満足せず、ゴールに到達したとは感じないのです。

お伝えした通り、40代の責任は、30代や20代のそれとは違います。父親であること、そしてヴィクターとマルゴーという若い子どもたちを、子どもに必要な繊細さをもって導きながら、真のチャンピオンとしてのプロフェッショナリズムを保つこと。
それが含まれます。彼らがマウンテンバイクを選ぶかどうかに関わらず、その道は正しい方向にあります。ファビアンという道しるべがいるのですから、そうでないはずがありません。ファブ、ここでも素晴らしい仕事をしています。
これこそが、そしてこれからも、あなたの最大の功績でしょう。

ファブのような人物と接すると、心を動かされずにはいられません。惹きつけられないはずがないのです。パドック越しに視線を交わす、それだけで、ファビアン・バレルという並外れた存在が放つ磁力が、私たち全員を高揚させてくれます。

いつも全力を尽くしてくれて、ありがとう。常に私たちにインスピレーションを与えてくれて、ありがとう、ファブ。

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ダイネーゼAGVジャパン編集部

ダイネーゼAGVジャパン編集部は、イタリア発のモーターサイクルウェアブランド「Dainese(ダイネーゼ)」およびヘルメットブランド「AGV(エージーブイ)」の日本正規輸入元として、製品情報・アスリートのインタビュー・ブランドの今を発信する編集チーム。 ビギナーからエキスパートまで、ライダーの安全性を最優先にした情報提供を行っています。

2026年2月7日公開
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